大判例

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横浜地方裁判所 平成6年(行ウ)3号・平5年(行ウ)49号 判決

甲・乙事件原告

株式会社ジャストオートリーシング

右代表者代表取締役

石崎壽次

右訴訟代理人弁護士

大畑雅敬

大畑雅義

甲・乙事件被告

横浜市長 高秀秀信

右訴訟代理人弁護士

村瀬統一

栗田誠之

二川裕之

事実及び理由

第三 争点に対する判断

一  (特別土地保有税の免除制度の趣旨及び免除の判断基準)

法五八五条以下に規定する特別土地保有税は、土地の取得及び保有に伴う費用を増大させることにより、土地の投機的な取引などによる地価高騰を抑制するとともに、土地の有効利用を促進するために創設された政策税制である。

そして、このような特別土地保有税の制度目的に鑑みれば、既に社会通念上、相当水準の利用がされていると認められる土地についてまで課税することが要求されているとは考えられないから、そのような場合には一旦成立した納税義務を免除することとして課税の合理化を図っている。

しかしながら、個々の土地について右利用がなされているか否かを判定することは実際上困難であるから、その具体的運用において徴税事務上不公平が生じるのを避けるために、一定の外形的な基準を設け、かつ個別具体的に課税団体の認定にかからせる方法による、右税の免除制度(法六〇三条の二、法施行令五四条の四七)が設けられている。

そこで、前記のような特別土地保有税の免除制度の趣旨からすると、免除の要件として規定されている法六〇三条の二第一項一号、法施行令五四条の四七第一項一号、二号の該当性の判断は画一的、客観的にされるべきであり、しかも法が免除の対象土地であるか否かを判定する基準日を設けている(法六〇三条の二第七項、五八六条四項)ことに着目すれば、当該土地が法六〇三条の二第一項一号による免除対象土地となるかどうかは、専ら、基準日現在において、右免除要件の基準に適合する建物又は構築物が存在し、あるいは、少なくとも右の基準に適合する建物又は構築物が建築途上にあることによって、当該土地が現にその敷地の用に供されていることを客観的に判断することが可能であるか否かにより定まるべきものであると解するのが相当である。

それゆえ、右基準に適合する建物又は構築物が基準日に現実に全く存しない場合においては、たとえ、このような建物又は構築物を建築する具体的な計画が進行中であり、所有者において投機目的で当該土地を保有するものでないことがうかがえるとしても、それのみでは当該土地が現にその敷地の用に供されているとは認められないから、同項一号に該当するものではないというほかない。

なお、原告の主張する「敷地の用に供する土地」の認定についての自治省税務局長通達については、基準日現在における外形的な基準のみによっては、法六〇三条の二第一項一号の要件に該当する恒久的な建物、施設等の用に供される土地であるか否かの判断が容易でない場合について、基準日現在の外形的事実を判断するための補助的事実として基準日前後の利用状況を参酌することを許容したもので、法の趣旨に適合すると解されるが、これがすすんで基準日現在において建物等の建設に着手すらしていないような場合にまで、基準日後に恒久的な利用に供される建物等の建設が行われた事実をもって、法上要求されている、基準日現在に満たすべき客観的外形的事実としての建物等建設着手の事実に代えることまでも認める趣旨であると解されず、仮にそうであれば法の趣旨を逸脱するものというべきである。

二  (本件土地について)

前記争いのない事実及び証拠上明らかな事実によれば、原告が本件土地上に建物の建設に着手したのは平成五年八月であり、本件土地の取得及び保有に伴う特別土地保有税の免除要件の判断の基準日たる平成五年一月一日において、本件土地上には、法六〇三条の二第一項一号の基準に適合する建物又は構築物が存せず、またその建設にも着手していなかったことは明らかであるから、前記判断基準に照らして、本件土地は特別土地保有税の免除対象土地に該当しないというべきである。

三  (課税権の濫用について)

本件土地が特別土地保有税の免除対象土地に該当するか否かの判断にあたっては、前記のとおり基準日現在の客観的な基準によるべきであって、本件のように土地上に建物等が存在せず、その建築にも着手していないような場合には、すすんで土地利用の目的等を考慮し、また投機目的の有無などを判断する必要はなく、原告主張のその他の事情をすべて斟酌しても、被告がした本件第一、第二処分について、課税権の濫用に該当する事由があるとは到底認められない。

四  (結論)

以上によれば、本件第一、第二処分は適法であり、原告の本訴各請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 尾方滋 裁判官 秋武憲一 今井弘晃)

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